TwitNoNukes編著『デモいこ!』批判

ツイッターにポストしたものを以下そのまま再構成*1(文章にはけっこう手を入れたが、文意は変えていない)。

『デモいこ! 声をあげれば世界が変わる 街を歩けば社会が見える』*2を読んだ。
版元が同じ河出書房新社ということもあってか、『さようなら、もんじゅ高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし』*3と印象が似ている。ちなみに奥付に「編集」として野間易通氏*4がクレジットされている。
 
印象が似ているというのは、おおむね以下のような点においてである。
知らない人向けの手に取りやすく分かりやすい入門書となることを意図して作られたと思われること。
そのことにかなり成功していると見えること。
装丁やレイアウトがオシャレでカワイくライトな見た目・手触りであること。
そして、おそらく意図的に「政治的」な(≒ダサくクラい)ものを極力排除した作りになっていること。
もちろん、『もんじゅ君』にせよ本書にせよ、題材そのものは高度に政治的なものである。しかし両書において、一貫して政治的な題材からダサくクラい感じを巧妙に排除しているように見える。
 
本書は、『もんじゅ君』と同様、デモ初心者に手っ取り早くノウハウを伝える、手に取りやすい本である(その点かなりよくやっている*5)。
しかし、私にはなんだかかなり胡散臭く感じられてしまう。この点においても、『もんじゅ君』と本書は似たところがある。
 

胡散臭いところ、その一。

警察との関係についてのコラム記事が二ヶ所ある。25ページの「おまわりさんは何をやっているの?」と46ページの「公安条例と許可条件」である。ここ、明らかににごまかしがある。前者のコラムが、まるで警察がデモの円滑な実行のため親切にも協力してくれてるような書きぶりになっている。
しかし実際には全然そうじゃないことは、まあ説明不要だと思う。デモを管理したいし、できるだけそのポテンシャルを削りたい。本質的に警察はそういう存在だし、実際にデモに行けばわりとあからさまにそのことは理解できる。この本の書き手は、できるだけそのことに触れないようにしている。
まあ、ありていに言って、妥協的。そこが『もんじゅ君』とよく似てる。入門書として作られてることはこういう妥協の言い訳にならないと思うし、第一読者をバカにしている(バカにしてるんでなく本気でこのように考えてるのだとしたら、それはそれでやばい)。
 

胡散臭いところ、その二。

実はもう一点問題だと思うところがある。個人的にはこちらのほうがムカついた。
「2.デモへいこう!」という章のなかで、「キレイな格好で!」と小見出しがある。ここで、決まった服装はないがスニーカーが楽かも、と書いた後で以下のように続く。

しかし、それよりも大事なのは、ちゃんとおしゃれをしていくということです。デモは、人前に出ることだというのを忘れないようにしましょう。

うるせえ!余計なお世話だよ!
ってだけじゃなく、これ、排除につながりかねぬ発想だと思う、大げさでなく。例えば身なりに構えないホームレスなど最初から考慮の外ってことでしょ。デモいこ!て本がこれでいいのか!?

こういう傾向って、官邸前抗議行動とやらの「警察と仲良く」「ふつうの国民」指向とまことに底を通じたものであるよなあ、と思います。よく知らないのだけど、TwitNoNukesという団体(?)って「官邸前」の主催者に連なってるんでしたっけ?

*1:http://twilog.org/qua_gma/date-120730の16:57:20から17:41:25までのポスト参照

*2:TwitNoNukes編著、河出書房新社、初版印刷2011年12月20日

*3:前記事参照。著 もんじゅ君 監修 小林圭二、河出書房新社、初版印刷2012年3月11日

*4:ツイッターアカウント@kdxn

*5:もっとも、こんな意見https://twitter.com/ShiraishiM1970/status/230056119681286145もある。ごもっとも。