川本真琴『1/2』



川本真琴の登場は鮮烈だった。
ダウンタウンの番組で、紹介されるやいきなり一分ほどのスキャットかました彼女をいまだに忘れられない。司会者の二人も呆然としていた(芸人としてのプロ意識に基づく純然たる「リアクション」だったとは思わない)。
 
今思うと、このころの彼女(このとき以外の彼女はまったく知らないわけだが)には奇妙に焦燥感というか前のめり感が付きまとっていたと思う。
それはあの時代の空気そのものに漂っていたものでもあった。