エントリーを書き直した理由

一つ前のエントリーは、最初に公開してから読み直してどうも気になるところがあったので、いったん削除し書き直した。
最初私は実名・写真を公開される「捜査協力者」のこうむる不利益について、

排外主義が高まっている今の*1日本においてこのような情報が一般に公開されたとき、単なる不利益を超えて、どのような迫害が行われるか想像もつかない。

と書いていた。
また、結論のところで

このように考えると、出版物への実名・写真の掲載は不当であり、むしろ公権力により行われた悪質な差別的行為に加担するものにもなりかねない性質のものではないかと思う。

とも書いていた。
 
こうした書き方は、それ自体正当な権利行使を「こころない人による攻撃を招き寄せるから」という理由で抑止しようとする、ある種の典型的ロジックを思い起こさせる。「太宰メソッド」という言葉があるが、こうしたロジックを指しているものだと思われる。また、私は一年半前の「日の丸ウンコ騒動」も思い出した*2。直観的に、このような書き方は避けたほうがいいのではないかと思った。そこで削除し書き直したのである。
 
書き直したものがこうしたロジックを避けきれているかどうかには自信がない。そもそも、今回のケースにおいて、プライバシーを侵害された外国人の地位の特殊性―その強いられた立場の弱さ―を説明するのに、このようなロジックを完全に払拭した書き方が可能なのかどうかも分からない。
どのように考えるべきか、今は結論が出ないが、書き直した経緯につき、ここに記しおく次第である。

*1:今に始まったものではないという話もある

*2:「日の丸ウンコ騒動」については、こちら(http://d.hatena.ne.jp/lever_building/20090618#p1)及び同記事のブクマ(http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/lever_building/20090618%23p1)のid:isikeriasobi及びid:barcarola(両方とも外国人をクライアントとした活動を専門にする山口元一弁護士のアカウントである。アカウント自体は削除済。)のコメントを参照。この事件の経緯については以下も参照。http://d.hatena.ne.jp/mujin/20090703/p1 http://d.hatena.ne.jp/NakanishiB/20090703/1246575377